相続トラブルの現状を知る
不動産相続、そんな言葉を聞くと「大きな財産がある人だけの問題じゃないの?」と考える方も多いかもしれません。
しかし、実際には相続トラブルの大半は不動産が原因で起こっています。
これは、財産の量に関係なく、不動産が分割しにくく、その結果、もめ事が生じるからです。
たとえ大きな財産がなくても、実家の土地と建物があれば、それだけで相続でもめる可能性は十分にあります。
たとえば、亡くなった親の住んでいた家をどうするのかという問題。
兄弟姉妹の間で、家を売るか住み続けるかの意見が分かれ、さらにその価値をどう等分にするのかが話し合いの焦点となることが多々あります。
これに法律が加わると、物事がさらに複雑化することもしばしば。
ですから、「自分には関係ない」と思わずに、こうした現状を知っておくことが大切です。
トラブルになりやすい不動産の相続
不動産が他の財産と異なり、特にトラブルの元となりやすいのは、「分割しにくい」点にあります。
金銭的資産であれば、数値で明確に分けることができるため取り分もわかりやすいですが、不動産は物理的に1つしかないため、均等に分けることはできません。
そのため、相続人間での意見の食い違いが問題を引き起こします。
また、不動産には感情的な要素が絡む場合も多く見られます。
例えば親が長年住んでいた家には、思い出が詰まっていますし、いざ売却・処分となると感情的なハードルが生じます。
さらに、その家に今も住んでいる兄弟がいる場合や、長子が家を引き継ぐべきだという古い考え方が残っている家庭など、不動産に絡む意見は千差万別です。
そこで不動産相続を円滑に進めるためには、事前にしっかりとした対策を練ることが必要です。
そして、近年ではこれを不動産会社に相談する動きが増えています。
不動産会社を活用する相続対策の時代
こうした不動産相続の問題を避けるために、不動産会社を活用するという選択肢があります。
不動産会社は市場価値の評価や、どう分割・譲渡するかのアドバイスを行うことができる専門家です。
彼らの助言により紛争の種を事前に摘むことができます。
相続手続きは一般的に複雑であり、法律や税制も関わってくるため、間違えやすい部分も多いため、その都度専門家の意見を求めるのは非常に有効です。
最近では、相続の相談を受け付ける不動産会社も増えています。
そして、彼らは単に不動産の売買だけでなく、トータルの相続対策を支援してくれます。
多くの方が相続の時期が来て初めて動き出すものですが、予め動き出しておくことで、意外とスムーズに進行することも可能です。
将来的なトラブルを回避するためにも、早めに不動産会社へ相談することをお勧めします。
避けられない認知症問題との関連
不動産相続を考える上で避けて通れないのが、認知症の問題です。
高齢化社会において、認知症を患う可能性は誰にでもあるため、親が元気なうちに相続の話をしておかないと、認知症が進行すると相続の話そのものが進まなくなります。
つまり意思が確認できる状態のうちに、誰が何をどのように相続するかをはっきりさせておく必要があります。
認知症の症状が出てからでは、法的にも手続きが厄介になり、家族内での合意形成が難しくなることもあります。
そのため、一刻も早く行動を開始し、面倒な問題を未然に防ぐことが重要です。
この問題をクリアするためには、信頼できる不動産相続の専門家とともに計画を立て、できる限り認知症のリスクを考慮した備えをしておくことが良いでしょう。
遺言書の役割とその重要性
不動産相続の問題を未然に防ぐ上で、非常に効果的なのが「遺言書」を書くことです。
遺言書は、故人が生前に考えていたことや意志を明確に示す最善の方法であり、遺言書があるとないとでは相続のスムーズさが大きく変わります。
遺言書の作成は、地域の法律事務所や公証人の元で行われることが多く、一度作成すると法的に効力を持ちます。
そのため、相続人間の意見が分かれることなく、被相続人の意思に基づいた分割が可能となります。
また、残された家族に感情的な苦労を強いることなく、円満に相続を終えられる可能性が高まるという点でも、非常に重要です。
強調したいのは、遺言書の書き方次第で、かなりの相続争いが防げるということ。
自身の意思を確実に伝えるためにも、できるだけ早くこの手続きをしておくことを推奨します。
不動産相続の事例から学ぶ
実際の不動産相続の事例を見ることで、多くの方々がどういう問題に直面し、どのように対策を講じたかが分かります。
たとえば、兄弟間で相続トラブルになったケースでは、先ほど述べたように事前に不動産会社に相談し、適切な資産分割案を出すことで早期解決したという事例も多くあります。
また、不動産以外の資産と合算して総合的に考えるか、または賃貸物件を持っていた場合、その収益からの分割を考えるなど、適切な事例に基づい解決法を考えることが可能です。
巻末付録では、信頼できる不動産相続の専門家リストも掲載されており、これらを活用することで、困難な時に役立つ多くの情報が手に入るでしょう。
不動産相続は大切な家族の問題ですから、早いうちに準備し、もしもの時には慌てることなく、希望に沿った形での相続を実現するために動いておくことが大切です。
実際の事例や専門家のアドバイスを参考にしながら、安心できる財産管理を行いましょう。