投資の新しい視点を提供する一冊の紹介
私は普段、月に一度は旅行に出かける生活スタイルを持っています。
この度、次の旅行の際に読もうと思って手に取ったのが『社会をよくする投資入門:経済的リターンと社会的インパクトの両立』という本でした。
この本は、投資と社会貢献の両立をテーマに掲げた新しい投資入門書です。
通常の投資の目的は資産の増加に重きを置くものですが、この本ではその先にある社会の改善という視点を加えることを提案しています。
田内学氏が推薦し、多くの投信ブロガーが選ぶ「Fund of the Year」に14年連続で選出されるほどの注目度です。
筆者の理念と鎌倉投信の成功物語
著者である鎌田恭幸氏は、ゴールドマン・サックスで培った投資の知識を基に、2009年に鎌倉投信を設立しました。
「いい会社」への投資を理念に掲げたこの投信会社は、社会に対するインパクトを重要視しています。
その結果、創業初期から資産を預けていた顧客の資産は2倍以上に成長しました。
この成功は、ただ数字だけを追い求めるのではなく、社会的価値も考慮した投資戦略がいかに強力であるかを証明しています。
投資がもたらす社会的変革の力
「社会をよくする投資」とは、お金だけでなく「価値」を増やす投資である、と本書は強調します。
投資活動を通じて株価が上昇し、それが「みんなの共通目的」となり得ることを探求しています。
これには、企業が生み出す価値や環境への影響が大きく関わっています。
インデックス投資では、GDPが上がり続ける世界を期待することが焦点となることも述べられており、投資が持つ社会的な意義について深い洞察がなされています。
ESG投資とその評価基準
現代の投資において注目されているESG投資は、環境・社会・ガバナンスの三つの観点から企業を評価します。
本書では、これを「ペーパーテストの優等生」と例え、定性的な分析を超えた視点が必要であると述べています。
ESG投資がなぜ重要で、それがどのように企業の活動や社会全体に影響を及ぼしているのか、詳しく説明されています。
特に、企業がどうやって実際の価値を創造し、持続可能な発展を実現するのかに注目して読むと多くの学びがあります。
サイボウズやヘラルボニーに見る具体例
本書では、サイボウズやヘラルボニーといった具体例を引き合いに出し、企業がどのようにして「価値づくり」に成功しているのかを具体的に説明しています。
これらの企業は、自分たちの理念に基づいて投資を受け、社会に対して大きな影響を与えてきた事例として非常に参考になります。
読者は、これらの成功事例を通じて、投資を通じた社会貢献の可能性を感じることができるでしょう。
投資の成功に必要な考え方
投資の成功のカギとして、本書では「先入観を外す」「予測しない」「投資観を持つ」という視点を挙げています。
これは、従来の投資ではあまり語られない独自のアプローチです。
一見、リスクを避けるための基本とされることを覆す主張は、新しい時代の投資に求められる柔軟な姿勢を読者に示唆しています。
この考え方は、どのように社会にインパクトを与える企業を見つけ、どのようにそれらに投資するかを考える重要な手引きとなるでしょう。
投資と社会の未来を見据えて
著者は、この本を通して「投資のその先」を考えるきっかけを与えたいと述べています。
投資による利益だけでなく、社会的な価値や意義を追求することが、これからの投資の意味を深める鍵になると感じました。
自身の老後だけでなく、社会全体の未来を見据えることで、より豊かな人生を送りたいと思う人々にとって、本書は守るべき指針となるでしょう。
この記事を通して、投資に関する新しい視点や考え方を少しでも多くの読者に伝えることができたなら幸いです。