私たちは人生の中でさまざまな決断を迫られることがありますが、その中でも特に重要かつ複雑なのが「相続」の問題です。
「相続」と聞くと、多くの人は資産家や大金持ちのための問題だと思うかもしれません。
しかし、実際にはごく普通の家庭でも相続問題が原因でトラブルが発生することがあります。
今回紹介する書籍『実家の相続問題を損をせず、モメもしないで解決するための知識が満載』は、こうした相続問題に向き合うための貴重なガイドブックとなっています。
相続トラブルが家庭に与える影響
相続トラブルは避けて通れない現実の一部として、多くの家庭に影を落としています。
とりわけ不動産が絡むと、その複雑さは倍増します。
日本の法律では遺産は法定相続人に分配されますが、ここに不動産が加わると、具体的な分け方で大きく揉める可能性が高まります。
共有名義のまま不動産を放置すれば、将来の売却や新たな投資が難しくなるなど、私たちの暮らしに長期的な影響が出ることもあります。
本書はそのようなトラブルを未然に防ぐために、まず「相続トラブルの元となる原因」に焦点を当てています。
遺言書の重要性や法定相続分と遺留分についての注意点を明示するとともに、配偶者居住権の活用によって、配偶者が住み続けられる権利を守る具体策も紹介されています。
これらの情報は、相続トラブルを未然に防ぐだけでなく、実際に起きた場合にどのように対処するべきかを考える助けにもなります。
不動産相続に対する事前の対策とは
「転ばぬ先の杖」としての日々の準備は、相続問題にも直結します。
高齢社会となった現代において、認知症が相続手続きを難航させることも少なくありません。
未来に起こりうる問題を未然に防ぐためには、早い段階での対策が肝心となってきます。
本書の第2章では、「相続前にやっておくべきこと」として数多くの具体策が提案されています。
例えば認知症になる前にできるだけ相続対策を済ませておくこと、法定後見制度の活用法、さらには家族信託の考え方と、そのメリットについても詳しく紹介されています。
このような提案をもとに、どういった資産を誰に残すのかを話し合うことで、トラブルを避けるだけでなく、健全な家族関係を保つ手助けになるでしょう。
遺産の有効な分配法を考える
面倒な手続きがつきまとう遺産相続ですが、どのように進めていくべきかについても、本書では詳しくアドバイスされています。
多くの人は「法定相続分=公平」と思いがちですが、実際には個々の家庭に合った遺産の分配方法があります。
たとえば、相続時に相続を放棄する選択肢についても言及されています。
これは相続手続きに対する義務がないことから、重要な選択肢のひとつです。
また、「相続登記は不動産相続トラブル防止の基本」として、法律に基づく具体的な行動を奨励しています。
これにより、不動産を巡る複雑な問題を回避するだけでなく、家族の意向に沿った財産分与が可能となります。
著者の背景が生む信頼感
本書の著者、山本健司氏は、東京で半世紀にわたる伝統を持つ不動産会社の3代目として、現場での経験が豊富です。
不動産仲介のプロフェッショナルとして、数々の成功を収めてきた彼が手がけた本書は、実務で培ったノウハウが凝縮されています。
また山本氏が設立したミライアス株式会社は、「スマート仲介」を掲げ、顧客の利益を最優先に考えた新たな方式で不動産業界にインパクトを与えています。
このような背景を持つ著者が執筆した本書は、実際の相続問題に役立つ豊富な知識と実践的なアドバイスが詰まっており、多くの読者にとって信頼に足る内容になっていることは間違いありません。
実践できる解決策としての一冊
相続問題は、法律や税制など専門性の高い知識が求められる分野です。
しかし、山本氏の著作には、専門的すぎることなく誰でも実践できる具体策がたくさん詰まっています。
特に、日本の法律システムを考慮した提案が多いこともポイントです。
例えば、「相続税の申告・納付期限は相続開始後10か月以内で、現金払いに注意」という具体的なアドバイスや「元実家の空き家は売らずに貸した方が良いか?」といった選択肢の分析など、単なる法律の解説に留まらず実践可能な方法を丁寧に解説しています。
これにより、実際に相続問題にぶつかったときの大きな助けとなるでしょう。
まとめ
『実家の相続問題を損をせず、モメもしないで解決するための知識が満載』は、相続問題に関心があるすべての人に手にとって欲しい一冊です。
資産が多い少ないにかかわらず、不動産を相続する私たちにとって、相続は身近でありながら時に深刻な問題になることもあります。
この一冊を通して、未来のトラブルを予防する手段や、問題を解決する具体的なステップを知ることができ、家族の絆を強めるための糧となるでしょう。
相続をめぐる決断をより良いものにするために、ぜひ一度その内容を確認してみてください。